数寄屋造り

伝統的な日本家屋

数奇屋造りを一言で言えば、茶室風の建築のことである。
数寄屋(数奇屋とも書く) とは庭園中に独立して建てた茶室のことで、数寄の精神とは、外面の美を否定し、装飾性を極限まで排した簡素な美を尊ぶ精神である。
 数寄屋造りが千利休によって創始されたと言われる所以である。高級な銘木を使った高級料亭や高級旅館の豪華な建築と思われがちであるが、本当は庶民性を強く意識した物なのである。
数奇屋の起源ははっきりとわかっていませんが、寛永頃(1630年頃)になると数奇屋風の書院が多くなっています。
 数奇屋は、書院造を基礎とし、室内を軽妙な意匠とした建物を一般に数奇屋造りと呼びます。柱は面皮柱を使用し、欄間や釘隠しの意匠などでしゃれた室内空間を作り出しています。
 正規の書院造の気品を失わずに堅苦しさを脱却して日常の居室ともなりうるようにしています。
数奇屋風の室内によく扱われて、軽快な感じで親しまれているのが船底天井である。天井の中央から両側に、勾配に天井面が下がっている形式で、棟の部分に化粧棟木(丸太や竹類)をつけたり、逆につけないものもある。

 また、野地板や小舞、垂木を化粧にして使用した化粧屋根裏天井や、すぎのへぎ板やすぎ皮、竹皮を剥ぎ、網代に組んだ天井、細竹・割竹・葭・蒲・萩・山吹などを編んで張る天井も用いられることが多い。

和風建築の中で、最も大きな役割を果たしているのが、柱です。柱は建築物の全体の基本になる構造体であると同時に、室内意匠や空間構成からも極めて重要な部材といえましょう。
 数奇屋造りや茶室建築では、磨き丸太や自然木を使用する例も多く、昔の建物の柱は太く逞しかったのですが、今日では全て柱は次第に細くなってきています。
 これは、経済的、合理的な木材の使用に変わったためでしょう。
鴨居は、敷居が障子や襖、戸などのレールであるのに対して、ガイドの役目をする。数奇屋風の部屋や小窓などでは、薄めの鴨居や端欠けの刀刃にするなど、室の調和を考えた細かい心配りが大切です。

 鴨居の上に柱から柱へ水平に取り付けた化粧造作材である長押(なげし)というものがあります。しかし、実用を主観とした室や小さい部屋、数奇屋風の座敷では、この長押をつけると厳格な感じになるので、省略する傾向にあります。
 場合により、丸太を割ったものや面皮材などが使われることがあります。

匠の技(神棚)